shimojiblog

しもぶろ日記です

本との出会い


雑誌「 AERA」と「PRESIDENT」から影響を受けて、最近読書をするようになった。
佐藤愛子さんや向田邦子さんを読み終えて、文学作品にも挑戦したくなった。
夏目漱石集を借りてみた。
「吾輩は猫である」から始まって「坊ちゃん」「三四郎」「それから」「こころ」「道草」と続いている。


2段組に文章が連なっていて大量の小さい文字。
明治時代に書かれた作品、難しいであろうこの本を読めるかどうか不安この上ない。


恐る恐る読み始めた。



 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。
(ネットより抜粋)



にわか読書人間、文学作品の重厚さに触れたくて挑戦してみた。
見たこともない漢字や、理解しながら読み進める難しさを感じながら。


けれど、それが意外にも読めている。
面白いのだ。


まるでその場が見えるようだ。


玄関の扉は、カラカラと音がするのだろうか?
座敷の障子を開けると縁側、その先には小さな庭がある。
竹で編んだ竹垣の側には植木がある。
台所はテーブルと椅子なのだろうか、あるいは昭和レトロな丸ちゃぶ台?
大きな茶箪笥の中は、所狭しと食器が重なっている。
釜炊きのご飯で、流しはタイル張り?


勝手に想像力が働いて、楽しくて先が気になってくる。
長いけどなんとか頑張って読めそう、手ごたえを感じた。


ところが、72ページ迄読み進めたところで、
頼んでいた本が届いたので取りに来てください、と図書館から連絡を受けた。


あれま、そんなに借りても読み切れない
頼んだのが早かった。
でも、連絡を受けたので取りに行こう。
延長という手もあるし、軽く考えて図書館に向かった。


すると、館員さん、
他の図書館から借り入れたので、延長はできませんし、期限を必ず守ってください
と話された。


私はその時、夏目漱石集の分厚い本を手に抱えていた。
届いた本を借りたら、そのまま図書館で夏目漱石集を読んで過ごす予定だった。


館員さんは、それを見て
優先順位はこちらから、そちらは延長できますから大丈夫ですよ。


仕方がない。
「吾輩は猫である」続きはお預けだ。


アドバイスに従って、届いた本を読むことにした。


ページ数は321ページ。
これもけっこうあるなあ。
20日間で読まなければならない。


長い本を読んだのは、ハリーポッターくらい。
次の日仕事だというのに、1巻目は夜中の3時ころまで読んだ記憶がある。
面白くて、途中で止めるなんてできなかった。


でもそのシリーズも、読んだのは2巻目まで。
あとは映画を観て、それで満足した。


そんな訳で、長い本は馴染みがない。
いや、待って待って、あるぞ、あるぞ、他にも長いの読んだことあるぞ。


こらこら、横道にそれなさんな。
そんなことはいいの。


はいよ



雑誌「 PRESIDENT」に紹介されていた本。
興味が沸いたので、近くの図書館に問い合わせをした。
あいにくそちらにはなかったが、他所の図書館に問い合わせてくれた。
それが届いた。



本は、これだ↓




私は今まで、そんなことを知らなかった。
いや、もしかして知っていたかもしれないし、教わったかもしれない。
ただ、耳に入らなかっただけかもしれない。


でも、確かに今まで知らなかった。


本の内容はあたりまえと言えば、もっともあたりまえのことなのに。
それに気が付きもせず、むしろ真逆の考えを持っていた。


今までどれだけ挫折を繰り返したのだろう。
何度も同じことを繰り返しているような思いもある。


だけど、振り返ると、その時の決定は、その時起こったことは、自分にとっては大切なことだと肯定をしてきた。
それがどんなダメージだったとしても。



スティーブ・ジョブスは、スタンフォード大学の卒業式のスピーチで、


将来をあらかじめ見据えて点と点をつなげることは出来ない
できるのは、後からつなげることだけだ


と、点と点をつなげる話をしている。


点と点がつながることは、全ての人に起こっている。
それに気づくか気づかないかの違いはあるが、点と点はつながっているのだ。


多くの経験を経て、この本に出合って、点と点のつながりを強く感じた。
この本との出会いとスティーブ・ジョブスのメッセージが私の中でつながった。



少し前は、読書をする気持ちにならなかった。
いろんなことに目移りをして落ち着かずバラバラだった。


こうして読書ができるくらい心の余裕ができたことは嬉しい。
お金の余裕はないけれど、心の余裕に満たされている。


まだ返却まで時間がある。
もう一度読んでみよう。


誰も教えないことを本から教わる。


読み終えたら、次はいよいよ「吾輩は猫である」の続きへと向かう。